経済と陰陽五行(実績編)

基   準


 最初の基準は自己を中心に成される。自己は間接的認識対象であるから、自己を任意な外的対象に写像する事によって中心は定められ。しかし、その時点ではまだ自と他は未分化である。

 基準が外部に投置され、外部化されることによって客体化される。基準が客体化されて対象は、相対化される。

 経済の基準となる水準は相対的であり、要素間に働く作用の均衡点によって定まる。

 貨幣価値は、経済的価値から派生する価値である。貨幣価値は、経済的価値の部分であり、全体ではない。貨幣価値は、経済的価値に従属した価値である。即ち、独立した価値ではない。

 経済的価値と貨幣価値とは同じ価値ではない。経済的価値とは、潜在的なある価値である。即ち、生活に必要な物としての価値は、貨幣価値が成立する以前からある。貨幣価値というのは、経済的価値を交換する必要が生じた時に派生する価値、即ち、交換価値に基づいて成立する価値である。
 貨幣価値というのは、所与の価値として存在する価値ではなく、交換する必要性によって変換されることによって生じる任意の価値であり、基本的に数値として表現される。即ち、潜在的な価値である。
 貨幣価値は、財と別個に存在するというのは、錯覚である。或いは、結果的な認識である。貨幣価値は、本来、財と切り離しては考えられない価値である。即ち、貨幣価値は財の属性なのである。少なくとも貨幣価値が成立する当初は、財を変換する必要があるのである。それが貨幣価値の裏付けでもある。
 貨幣価値は、貨幣という物として表現される。貨幣価値は、貨幣に置き換わった瞬間、貨幣としての実体を持つ。そして、貨幣その物が財としての実体を持つようになる。その為に、貨幣価値は、操作することが可能となる。それは、言語が文字によって、数値が数字によって実体化されるのと似ている。 
 貨幣価値が実体化されると貨幣価値を所有したり、貯蔵することが可能となる。貨幣価値を所有したり、貯蔵することが可能となると、次ぎに、貨幣価値を貸し借りすることが可能となる。それが、貨幣の潜在的な力を持たせることになる。
 そして、貨幣価値の貸し借りは、債権と債務を生じさせる。債権と債務は、負債を成立させる。負債は、その財の元にある価値を増幅させる作用がある。それが経済における位置エネルギーの源である。

 経済的原点というのは、手持ちの資産の潜在的価値が前提となる。トランプのゲームや麻雀を思い浮かべればいい。トランプのゲームや麻雀は、最初に各々が何等かの手持ち、或いは、取り分を所有、保有していることが前提となる。

 貨幣的価値は、最終的には、自然数に還元される。それは貨幣が物としての実体があるからである。即ち、貨幣価値は、分離量だからである。しかし、経済的価値は、連続量である。故に、経済的価値は、必ずしも自然数に還元されるとは限らない。

 所得は、分離量で計算されるが、労働は連続量である。

 物理現象は、長さと時間と質量によって測られるが、経済現象は、貨幣価値(交換価値)と時間と質量によって測られる。
 物理量で基準になるのが単位であるのに対し、経済の基準は単価である。即ち、単位は、一単位あたりの量であり、単価は、一単位あたりの貨幣価値である。

 経済的基準というのは、物理的基準と違って意識の所産である。意識の所産であるが故に、無形であり、直接、知覚できる対象ではない。その為に、基準自体が絶えず変動している。絶えず変動しているが故に、名目的な基準と実質的な基準が生じる。
 経済的価値の変動は、名目的な基準を中心として振幅しているのか、実質的な基準を振幅しているのかの判断が重要となる。

 経済的空間は、閉ざされた空間であり、範囲と境界線がある。即ち、経済的単位は、空間の規模に従属して決まる。独立した単位ではない。

 会計は、取引を記録し、仕訳し、転記し、集計し、決算処理し、損益と貸借に分割される過程<、操作を経て形成される。

 取引の総和は常に均衡している。

 会計の問題は、典型的な集合の問題であり、線形代数的な問題である。

 経済評論家の多くが数字をひけらかし、弄ぶ傾向があるが、その多くが統計に基づく数字である。又、数字を上げる事でなんとなく科学的、或いは、学術的な箔がついているように錯覚しやすい。しかし、数字は、いかようにも粉飾ができる。大事なのは、数字の背後にある実体である。
 確率、統計的発想の重要性は解るが、経済現象を確率、統計的発想だけで理解するのには限界がある。経済と数学を融合するためには、数論や集合、線形代数、微積分も含めた総合的な数学力が要求される。

 基準は単位の集合である。

 単位の集合は、密度を生み出す。即ち、現象の基本式は、質×量=密度である。経済の基本色は、単価×数量である。

 この密度は、経済の規模を設定する。規模と水準との積は全体を特定する。即ち、経済の範囲=規模×水準である。経済の規模、全体が、個々の単位の実体を現す。
 この様に経済単位は、全体との相関関係によって決まる従属的変数である。経済の単位は、貨幣単位と数量単位である。数量単位とは、実質的価値を意味し、物質の質と量から成りる。即ち、質を表す単位と量との積である。

 この様な経済的基準による経済現象は、経済の水準に従属して変化する。その為に、実質的変化と名目的な変化が生じる。

 経済を構成する個々の要素は個人である。そして、経済機関の基礎単位は、家計と企業と財政である。

 経済単位の役割とは、貨幣の流通、生産と消費の調整、労働と分配の決定である。





                       


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