背  中


自分が学生の頃、三波春夫が、「お客様は神様だ。」といっていた。
当時は学園紛争も盛んで、左翼がかった自称進歩的知識人の中には、三波春夫を見下したような言い様をした人間も多くいた。
しかし、今にして考えると三波春夫の方が進んでいた気がする。
お客様を神様のように見上げてみるとお客様の姿が違って見えてくる。
お客様が何を望み、何を求めているのかも考えずに自分の都合ばかりを押しつけても商売はうまくいかない。
若い頃は、商売の先輩方から、上から見ていたら何も見えてこないとよく諭されたものだ。
三波春夫の国民的人気を衰えず。終生、紅白の大トリをとり続けた。

物事は、違った視点から見ると全く違った印象になる。
組織もピラミッドとしてみているだけでなく逆ピラミッドとしてみるとトップの働きも違ってくる。
さらに、水平方向に倒してみれば、第一線にいるのは現場のワーカーであり、トップは一番後方に位置する事となる。

戦略の要諦は、作戦、情報、後方支援の三つだと教えられた。
日本人は、作戦ばかりを重視するから戦争に負けたのだと指摘された事もある。
欧米人は、情報と後方支援を重んじる。
トップは後方にあって前線を支援する立場にある。
偉くなって作戦を指導しようなどと考えるから作戦が破綻するのである。

第一線の現場は後方に弱い。その後方を守りながら、前線に資源や情報を送り全体を統御するのが、トップの本来の仕事である。
前線の人間が背中を見せられるトップこそ本当のトップである。

その様にしてみると組織の真の役割や働きが見えてくる。
何が上で何がしたかなどという事は本来組織には問題ではない。適材適所、組織を構成する一人ひとりが、自分の持ち分を守り、役割を発揮できたら組織は最大の力を発揮する事ができるのである。

ただ組織を階級的な体系としてのみ考えたら、組織はバベルの塔となる。
組織を水平的な体系としてとらえたら、実力や働きによって柔軟に且つ機動的に組織を動かす事ができるようになる。

スポーツの組織は、垂直的ではなく。水平的で平板なのである。
水平的だから集中と分散、適材適所、実力主義を実現できるのである。

一線に立つ者達がトップに背中を見せる事のできる関係が築ければ組織は前進を始めるのである。





                content         


ページの著作権は全て制作者の小谷野敬一郎に属しますので、 一切の無断転載を禁じます。
The Copyright of these webpages including all the tables, figures and pictures belongs the author, Keiichirou Koyano.Don't reproduce any copyright withiout permission of the author.Thanks.

Copyright(C) 2015.10.1.Keiichirou Koyano