街角で


街角で、同じくらいの子の後姿を見ると、あの子の後姿に重ね合わせてしまう。
街角で同じくらいの年頃の子とすれ違う時、あの子の笑い声が聞こえたり、あの子に話しかけられた様で当たりを探したりもする。
ふと我に返ると、カラカラと木枯らしが吹いていく。

あの子の記憶は、幼いころの記憶。
遊園地へ行った時。公園を駆け回っていた頃。
親は子を思い出さない日はないけれど。
子供は、夢を追って遠くへと旅立っていく。
振り返りはしない。

やがて、あの子の記憶も薄れ忘れ去られて行ってしまうのだろう。

街角にあの子の面影を負う。
微かな匂いは過去へと誘(いざな)う。

いつか一人で…。
老いは悲しい。
あの子の事を思う事は悲しく切ない。

でも静かに、静かに闇へと消えていこう。
忘却の彼方へと…。
風が吹いたなら。



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