想い


朝。
なぜ、モーツァルトをかけたのだろう。
どうしても思い出せない。
落ちていく空間。
ねじ曲がった次元。
球体の時間。
もうどうでも良いじゃあないか。
どこへ行くの。
確かに、誰かが耳元でささやいた。
私は、コーヒーをいれる。
それから、深々と椅子に腰をかけた。
今、何処にいるの。
私にはそう聞こえた。
過去・現在・未来。
もうどうでも良い。
しばらく、目を瞑ってモーツァルトを聞こう。

見えたんだ。
確かに見えたんだ。
湯気の向こうに。
コーヒーの湯気の向こうに。
私は、クックックと笑う。
子犬が、不思議そうに私の方を見る。
そうだったのか。
私は、そう叫んでいた。
それから、また、大笑いをして、窓の外を見た。
窓から見えたのは、漆黒の闇だった。






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