命って不思議ね

命って不思議ね。
と陽子が呟いた。
それから、
だって、生まれて、
また、消えてしまうんだもの。
と続けた。

命に限りがあるから
愛は生まれるのかしら。
愛が必要になるのね。
生きたいという想いが
愛を生むのね。
愛がある所には、時間は、限りがないし。
愛がない所には、時間に、限りがあるわ。

だから、愛の終着駅なんておかしい。
愛の終焉なんてあり得ない。
だって、愛は時間そのものだもの。
愛があるから、時間が生まれるのよ。

きっと、愛を求めてばかりいる人が、
病気になるのね。
愛は、与えるものだもの。
求めていてばかりいたら、
限界は必ずあるもの。
無償の愛には、限りはないわ。
だから、時間にも限りがなくなる。
無窮の時間になるの。

だから、きっと子供は、病気になるのね。
愛する事を覚えれば、健やかになれる。
大人になると愛を求めなくなるから、
親になると無償の愛を知るから
風邪も引かなくなるのよ。

それから、僕の方を真顔で見ると、
井出さんは、ピットちゃんを描けばいいのよ。
だって、ピットちゃんには、無償の愛があるもの。
井出さんは、時間を描きたいと言ってたけれど、
ピットちゃんを描けば、
時間なんてすぐに書けるわ。
だって、時間の本性は愛なんだもの。

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