心の奥底に


記憶。
記憶の奥底に潜むのは涙か、喜びか。

家内が息子のことを誇りよねと言った。
それに異論はないのだけど、息子を父親が誇りにしても、息子が父親を誇りにするなんて期待しようもないなと少し複雑な気持ちがした。
息子は海外に道を拓くだろう。
それは自分の希望でもある。
でももう一緒に生きていくなんて期待できないなと感傷的にもなる。

息子の事を考えると悲しく、切ない。

昔は、子供は、父親に畏怖、畏敬したものだけれど、最近は、飼い犬だって敬意を表したりしない。
まあ、日頃の行いが悪いから仕方がないのだけれど・・・。
これからの人生は、孤独に馴れる以外にないなと覚悟もしている。
歳をとったら誰の世話にもならないなんて強がっているのは、親父たちの世代までで、自分たちの代になったら金を出しても誰も世話を見てくれなくなるだろう。

ただ一人生きていく事になるのだろうな。
いつか息子の記憶からも消え去るのだろう…。

記憶。
記憶をたどってみると十代の時、二十代の時、臭いや感触まで蘇りはするのだけれど、それは遠い幻であって。
古い写真に写る世界は、それでも何かを信じ、一つの理想的家庭、後世、仮面だというけれど、でも確かに家族の絆はあったという思いがする。

いつどこで間違ってしまったのかなんて…。
記憶の奥底に潜んでいるのは嘘か、真か。

何が正しくて、何が間違っていたのかなんて今更ながら悩んでみているが、取り戻せない時間は虚しいばかり。
虚空に潜む魂に問いかける。

死は帰結なのか、過程なのかと・・・。



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