想い


昔見た夢なのに・・・


何かが始まり、何かが終わる。
そんな予感。
我々は、過ぎ去った時間の中に
大切な記憶を置き忘れてしまった気がする。
目を閉じて、今一度、想い出の糸を手繰り寄せてみよう。
それは、新たな記憶なのかもしれない。
昔、見た夢なのに鮮やかに甦る。
何かが終わり、何かが始まる。
失われた時間の中で・・・。

パパ。
不思議。
夜道を一人歩いていると、
父を呼ぶ幼い頃の私の声がする。
目を瞑ると満面に笑みを浮かべ両手を拡げる父の姿が目に浮かぶのだ。
幼い私は、父の胸の中に飛び込んでいく。
情景。
父は、私を持ち上げて高い、高いをする。
幻影。
酒に酔いつぶれて玄関にうずくまる私を
何も言わずに抱え上げ、ベットへ運ぶ。
父の温もり、息づかいが今も忘れられない。

パパ。
不思議。
それは私を呼ぶ息子の声。
でも、それは年老いた私を呼ぶ声。
のぞき込むようにして
私を呼ぶ声。
でも、声は、幼子の声。

時は無情。
いつか、一人になるのか。









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